2026年5月25日月曜日

FSSはお勧めできない

  こんにちは、「暖かくなってきたなぁ〜」っていって今月Tシャツを既に5枚買ってしまっていたkazuitです。(……)

 今回は、俺が中学生の頃から愛読している漫画のご紹介。
 先日19巻が発売になった「ファイブスター物語」です。
 five star storiesの頭文字をとってFSSと略します。

 はい、勘の良い方ならもう気付きましたよね。
 「kazuitが中学生の頃から読んでいて、まだ19巻?」
 そう、この漫画、刊行ペースがかなり遅い。
 あのHUNTER×HUNTERですら1998年スタートで38
巻まで出ているのに対し、FSSは1986年スタート、今年丁度40周年にして19巻しか出てないんですよ。

 で、ジャンルは端的に言えばロボット物です。
 多分今九割九分の女性が「あ、はい、興味無いデース」となった事
でしょう笑
 まあ実際かなりのディープオタ向け作品です。
 なので誰にでもお勧めという訳にはいかないんですが俺にとっては
人生を共に歩んできた超重要作品なのでございますよ。

 で、FSSの話をする為には先ずエルガイムに触れなければなりま
せん。
 「重戦機エルガイム」は1984年から放送されたロボットアニメ
で、原作はガンダムでお馴染み富野由悠季さん。
 で、このアニメのメカデザインとキャラクターデザインを一手に任
されたのが永野護さんという人物です。
 当時永野氏はまだ制作会社サンライズに入社して間も無い若手デザ
イナーにも関わらず、メカもキャラも一手に任されるというのは異例中の異例なんですよ。
 特にキャラデザインというのはその作品に関わる作画面でのスタッ
フのトップが務めるというのが通例なんですよね。

 で、永野氏は富野氏の原作を読んでイマジネーションを膨らませら
れるだけ膨らませ、単なるデザインの域を越えて世界観の構築みたいなところまで作り上げてしまったんですね。
 富野氏はそれを見て、TVシリーズとして出来るところと出来ない
ところを見極めて「これは採用、これは没。」と取捨選択をしてた訳ですが、元々原作だけで制作には関わらないつもりだったのに「やっぱり俺がやる!」となって総監督に就任したんですよ。

 という事でエルガイムは永野氏のテイストを存分に含みつつも富野
氏の監督下で作り上げられた作品となった訳ですが、ここで永野氏が産み出したディープな設定を再構築してオリジナル作品としてNewtype誌で連載され始めたのがFSSという漫画という訳なのです。

 先ほど端的に言えばロボット物と書きましたが、この漫画にはSF
、アクション、ファンタジー、政治劇等あらゆる要素が含まれます
 作者は「おとぎ話」と言ってますが。主人公神様だし笑
 ストーリーは複雑、登場人物は膨大で、はっきり言って単行本を1
巻から順にちゃんと読んでもなかなか全貌が掴めない。
 で、実はこの漫画、単行本の他にデザイン集、設定資料集が多数刊
行されているんです。
 こっちを見てやっとなんとか理解が及ぶという仕組みなんですが、
この設定資料集が先ず高い笑
 一冊6,000円とか平気でするし、デカいし、しかも出る度に版
型が違って本棚に綺麗に並ばない笑
 中身は膨大な設定画と伴にびっしりと解説文が書かれていて一冊読
むのに数時間掛かる。
 このハードルの高さ故においそれとお勧めできない作品ではあるん
ですが、それを乗り越えてもらえれば一般的な漫画とはレベルの違う途轍もない世界が待っているのです。

 とは言えお勧めできない理由はそれだけではなくて。

 この漫画、実は最長で9年も連載がストップしていた事があるんで
す笑
 先程連載開始から40周年と書きましたが、そりゃ19巻しか出て
ない訳だっていうね。

 で、そんなに休んで何やってたのかというとアニメ映画作ってたん
ですね。
 永野氏がサンライズに入社した頃はアニメってまだデジタルアニメ
ではなく手描きアニメ、セル画に職人さんが1枚1枚絵の具で着色してた時代です。
 永野氏はこのセル画用の絵の具の発色の美しさに魅了されていた人
で、だからFSSの設定画も漫画の設定画なのにわざわざセル画で作っていたんですけど、時代と伴にアナログセルがどんどん減っていってアニメ制作会社もどんどんデジタルセルに切り替えていってという中で、永野氏は「じゃあ最後にして究極のアナログセルのアニメを作ってやろう!」となって、漫画をストップしてアニメ制作に全てを注ぐという事になったんですよ。

 こうして作られた映画「ゴティックメード 花の詩女」はやはりロボット物で、ゴティックメードというのがロ
ボットの呼称なのですが(ガンダムでロボットの事をモビルスーツって呼ぶみたいな、アレです。)、FSSのロボット、モーターヘッドとは結構似て非なるデザインだなぁと思っていたら、お話の内容は実はこれもFSSだったんです。
 漫画で描かれているよりもかなり前の時代の出来事を映像化した内
容で、漫画の方にも重要な関連性のあるものだったんですよね。
 因みにこのアニメ、2012年の作品なのですがDVDやBlu-
rayは一切発売されてません笑
 というのは音響にも物凄く拘って作られていて映画館の音響システ
ムで再生されるものを観ないと意味がないという作者の拘りのせいです。
 元々「巨大ロボットが本当に動いて戦ったら物凄くうるさい筈」っ
て言ってた方なんでね。
 なので未だに度々TOHOシネマズで再上映が掛かってます。
 興味が湧いた人はTOHOシネマズのスケジュールをチェックして
みてください。

 て事でアニメの制作を終えてやっとこさ9年ぶりに漫画の連載が再
開するんですが、ここで大事件が起きます笑

 FSSの設定がガラッと刷新されて、全てのロボットのデザインと
名前が変更になってしまうんですよ。
 元々FSSはエルガイムの制作時に産み出されたデザインをベース
にしていて、だからデザインも名前もエルガイムと共通性が高かったのですが、「ゴティックメード」を制作した時に引き出したデザインラインをベースにそこを全て作り直しちゃったんですね。
 読者からしたら慣れ親しんだロボット達が名前もデザインも変わっ
ちゃって「え?どれが元のどれ?」っていう大混乱笑
 9年待たされて、やっと続きが読めるぞと思ったら知らないロボッ
トしか出てこねぇの。
 ただでさえ設定資料集と首っ引きで読まないと理解が難しいお話な
のに、ロボットのデザインと名前をイチから覚え直しですよ。

 て事でね、おいそれとお勧めできない理由がモリモリな漫画なんで
すが、そこを乗り越えて何とかこっち側に来てくれる人が一人でもいてくれればと思ってご紹介させていただきましたよ。
 「ハードル高ぇ〜」と思うでしょうが本当に面白いですから。
 ストーリー的にも丁度次の20巻が大きな区切りになると思うので
(発売は数年後でしょうが)、今から読み進めておくと良いかなと思います。
 設定資料集の方が入手しづらいという方はネットで検索していただ
ければ解説、考察をしているサイトや動画が沢山出てくると思いますんでそういうのを参考にしても良いかと。

 最後に一つ小噺を挟んどくと、作者の永野護さんの奥さまが声優の
川村万梨阿さんですね。
 この二人、学生の頃からの付き合いなんですよね。
 1981年にガンダムの劇場版公開記念イベントで「アニメ新世代
宣言」というのが行われたんですけど、このイベントで壇上に上がって宣言文を読み上げたのが学生時代の永野護さんと川村万梨阿さんで、まだコスプレなんて言葉が存在してない時代にガンダムのシャアとララァの扮装をして壇上に上がったんですよ。
 職業としてアニメに関わる前から既にちょっとした有名人だった訳
です。45年前から。
 歴史を感じちゃいますよね。

 さて、延々と書いてきましたが敢えてこの漫画の内容には触れずに
きました。
 それは実際に読んで初めて触れて欲しいからです。
 何だか難しそうに感じてしまったかもしれませんがポップなところ
はとことんポップだし、くだらないギャグやおふざけも満載ですんで先ずは手に取ってみていただきたい。
 そしてFSSについて語り合える人が一人でも増えて欲しい。
 別に俺だけが推してるとかじゃなくファンは物凄い沢山いる作品で
すし、ロボットの立体物も大量に販売されている超人気作品ですんで、是非ともこっち側に来てください。

 読もう、ファイブスター物語!

 おしまい。