2017年2月27日月曜日

ガンダムの話 vol.2

vol.1 の続き

 キーワードは「超合金」です。
 アニメに登場するロボットの玩具ですね。当時のロボットアニメはこの超合金とワンセットでした。
 つまり、ロボットアニメのスポンサーというのは玩具メーカーなんですよね。
 玩具メーカーが制作費を出してくれるからロボットアニメが作れる。
 玩具メーカーはそのアニメに登場するロボットの玩具を販売して利益を得る。これでウィンウィンの関係な訳です。
 という事は、ロボットアニメというのは超合金の宣伝という要素も含まれる訳です。チビッ子達がそのアニメを観て超合金を欲しがる内容が求められるんですね。
 なので、当時のロボットアニメは基本勧善懲悪。地球の侵略を目論む悪の組織を科学の粋を集めたロボットで撃退するというのがベースです。
 悪者の繰り出す巨大メカが現れ、主人公達が「出動だ!」
 しかしいきなりロボットで出動したりはしません。
 先ず飛行機やら車やらの別々の乗り物で出かけて行き、ミサイルとかで敵のメカを一頻り攻撃して、頃合いを見て「今だ、合体だ!」
 主人公達が乗っている別々の乗り物がロボットの頭となり体となり腕となり足となり、合体して巨大ロボットとなり決めポーズをビシッ!
 この「変形合体決めポーズビシッ!」が毎週必ず流れます。
 そしてまた一頻り戦った後、「今だ、必殺!」といって巨大ロボットの身の丈程もあるようなデッカい剣で敵をぶった切ったりします。で、一件落着。

 この勧善懲悪、変形合体決めポーズビシッ、必殺技でトドメ、一話完結というのが当時のロボットアニメのコードだった訳ですね。
 これを観たチビッ子達がこのロボットの超合金でゴッコ遊びをしたくなるような内容。
 何しろ制作費を出してくれるスポンサーは玩具メーカーですから、この超合金の宣伝的コードを崩すことはタブーな訳です。
 これでは本格的なSF作品、ちゃんと面白いお話は出来ないですよね。

 ところがこのタブーを犯してしまったのがガンダムだったという訳です。
 で、それをずっと既存のロボットアニメを放送してた枠でやったモンだから、チビッ子達は「なんかよくわかんない・・・」となって視聴率は低迷。
 当然超合金も全然売れなくてスポンサー大激怒。
 だってガンダム劇中では全然変形合体しないし必殺技も無いんだもん。
 スポンサーの玩具メーカーからの横槍で無理矢理ガンダムと合体するGパーツなるメカを登場させたり、ストーリー的にも地球から独立を目論んでいた筈のジオンの事を「人類の征服を目論むジオン」というナレーションが入るようになったり、色々やった挙げ句結局ガンダムは打ち切りを食らいました。

 と、ここまでは失敗作のガンダムが何故大ヒットとなったのでしょう。


 vol.3 へ続く

2017年2月13日月曜日

ガンダムの話 vol.1

 このブログも開設して早半年。
 cunoは音楽ユニットなので一応音楽ネタを書いてきましたが、これからは音楽以外の事も書いていきたいと思います。
 ネ、ネタ切れじゃないもん・・・

 という訳で、今回はガンダムの話です。
 もうバレバレだとは思いますが、アタクシ、一番最初のガンダム、所謂ファーストガンダム直撃世代であります。モロに影響を受けていまして、今現在のSF好きも元を質せばガンダム由来だと思います。

 なので今回はガンダムについて語ろうって事なんですけど、内容について具体的に話し出すとどうしても「シャアが」、「ランバ・ラルが」、「ロボットじゃない、モビルスーツだ!」等と、興味の無い人にとっては本当にどうでも良い話になりがちなんですよね。
 なので今回はガンダムの内容というよりガンダムのヒットの背景みたいな話をしてみたいと思います。

 ガンダムが何故ヒットしたかというと、一言で言って「お話がちゃんと面白かったから」です。

 ハイハイそこのアナタちょっと待って、読むのやめないで。

 んなこたぁお前に教わらなくたって分かっとるわ、とお思いでしょう。
 ところが、「当時のロボットアニメでは、ちゃんと面白いお話をやってはいけなかった」としたら?
 いかがでしょう、多少興味が湧いてきましたでしょうか。

 更に言うと、皆さんガンダムの事を大ヒット作品だと思ってますよね。
 ところがファーストガンダムというのは視聴率が悪くて打ち切りを食らっているという事実をご存じでしょうか。

 つまりガンダムは「タブーを犯してちゃんと面白いお話をやった結果、視聴率が低下して打ち切りを食らった作品」です。
 どうでしょう、何言ってるか全然わかんないでしょ。(笑)

 これを理解していただく為に、時代背景というものを説明させていただきます。
 そもそも、アニメに限らず漫画も特撮ヒーロー物も元々はチビッ子向けに作られましたよね。
 それが時代とともにより高い年齢層にも受け入れられるようになっていき、そこをターゲットとした作品と生まれてきます。
 実は特撮ヒーローはわりと早くからチャレンジしていて、ウルトラマンはチビッ子向けでしたがウルトラセブンは中学生位の年齢層までターゲットにして作られていました。
 ただ、結局観ていたのは殆どチビッ子達で、ウルトラセブンはチビッ子達にはちょっと地味で小難しい所があったので視聴率が下がってしまい、次作の帰ってきたウルトラマンからはまたチビッ子向けにターゲットを振り直しています。
 特撮ヒーローの話をし出すとそれだけで終わってしまうのでもう止めます。(笑)

 で、漫画も元々チビッ子向けだったのが段々少年誌、青年誌と高年齢向けの物が出てきて、とうとう劇画ブームが到来し、大人が漫画を読む事が恥ずかしくも不思議でもなくなります。
 アニメもやはり、漫画原作の物が多い事もあり、必ずしもチビッ子向けでもない物も登場します。
 明日のジョーなんかそうですよね。連載されたのは少年誌でしたがアニメで力石徹が死んだ時、現実世界で力石のお葬式をやろうというイベントが起こり、実際そこに集まったのは大学生位の年齢層だったそうですね。

 で、漫画にとってもアニメにとっても大きかったのは松本零士という人の登場でしょう。
 宇宙戦艦ヤマト、キャプテンハーロック、銀河鉄道999といった作品のヒットにより、漫画、アニメの世界でも本格的なSFやスペースオペラをやることが許容される事になります。

 また、この時代になりますと高校、大学生位の年齢層のアニメ好きを対象にした雑誌も出てきます。アニメージュとかジ・アニメとかですね。こういうのを、今のアニメオタクのハシリみたいな人達が読み出すと。

 で、そんな時代の最中、ロボットアニメでも本格的なSF作品を作りたいと思う人達が出てきます。
 しかし前述した通り、当時のロボットアニメではそれはやってはいけなかったのです。

 何故でしょう。


vol.2 へ続く