vol.1の続き
トムとジェリーの音楽はオーケストラで演奏されてますから、そのオーケストラの全てのパートの譜面を書き起こしてオーケストラメンバーに渡して、音楽含めた音声を全て一辺にレコーディングして、その音声に合わせて映像の方を後から作るという手順なんですよ。
トムが痛い目に合う時のバンッという効果音やトムの「ギャー!」という叫び声、トムを叱りつける家政婦の声まで、おおよそ6分を全部まとめて録っちゃう。
だから、実はこれを作っていた作曲家の方が凄いって事なんですよね。スコット・ブラッドリーという方なんですけど。
ジャズでもクラシックでも何でも御座れのトムとジェリーの音楽を、完成図を想像して先回りで作り上げちゃうだけでもとんでもないんですが、更に鬼なのはこれを全盛期は2週間に一本のペースで作ってたっていうんですから、マジで恐ろしいですよね。
こういう手順で作られていたので、トムとジェリーは音声と映像がピッタリと合致しているんですね。
で、実はこの、音楽を先に作って後から映像を合わせるという事に一部挑戦している作品が日本にもあります。しかも超有名タイトル。
それが「天空の城ラピュタ」。
ドーラ一家の息子達とパズーを雇っている炭鉱のオヤジが殴り合いの喧嘩をするシーンが、この手法で作られています。
でも、観た人なら分かると思うんですけど、この場面、凄くテンポが悪いんですよね。
作曲は勿論久石譲さんが担当されてるんですが、それでもあのテンポの悪さ。
スコット・ブラッドリーという人の凄さがお分かり頂けるかと思います。
さて、この様な手法で作られたトムとジェリー。
という事は、というのが二つ有りまして。
先ず、譜面があるという事、それは即ちオーケストラで再現可能という事ですよね。
実際結構有名なオーケストラが結構大きなコンサートでトムとジェリーを完全再現して拍手喝采を浴びています。
YouTubeで検索すれば、ベルリンフィルの演奏とか出てきますよ。
もう一つ、トムとジェリーは劇場で公開されていた短編フィルムなので、アカデミー賞を幾つも受賞していたりするんです。
多分一番有名なのはピアノコンサートのヤツですよね。
ピアニストのトムがピアノコンチェルトを演奏するんですけど、そのピアノの中で寝ていて叩き起こされたジェリーが怒ってトムの邪魔をしまくるヤツ。
あれは本当に映像と音声のシンクロぶりも勿論、トムのピアニストとしての仕草や表情なんかも、マジで凄まじいクオリティだなと何度観ても感心してしまうし、尚且つ滅茶苦茶面白い永遠の名作ですよね。
このトムとジェリーのアカデミー賞受賞作品だけをまとめたDVDというのも発売されていて、たったの千円位で買えちゃったりしますんで一家に一枚いかがでしょうか。(回し者)
またトムとジェリーはAmazonのプライム会員ならprime videoで無料で観られた筈なので、是非チェックしてみてください。(回し者)
てことで、まだ戦時中、日本人が竹槍を持って「米兵が来たらこうっ、米兵が来たらこうっ!」ってやってた最中にアメリカ人はこんな凄い物を作ってたんだっていう、そりゃ戦争負けるわっていうねw、今回はそういうお話でした。
おしまい