先ずは前回のブログ更新が遅れた事をお詫びします。 いつも隔週月曜日更新なんですけどね、基本。 oceanfrequencyさん家のPCがお亡くなりになったそうで、買い換えたんだそうです。 俺が原稿を落とした訳ではない事をここに明記しますw て事で、だったら今回は一週早く更新してしまおうという事です。 今回はお洋服の話。 ここ数年、ほっそいボーダーのTシャツ着てる人を矢鱈見掛けませんでしたか? て言うか、もしかしたらこのブログを読んでる人の中にも「持ってますけど」という方もいやっしゃるかも。 あれが何であんなに流行ったかっていう話です。 もうさっさと答えを言ってしまうと、バスクシャツというフランスのカットソーがルーツなんですよね。 バスクというのはフランスからスペインにかけてに広がる地域です。 サッカーの久保建英選手が所属してるレアルソシエダがバスクのチームですね。 もう一つバスクにはアスレチッククルブビルバオというチームもあって、このチームはバスク人の選手しか使わないという「バスク純血主義」を貫いていて、バルセロナ、レアルマドリーと共に、2部に落ちた事のないチームだったりします。 バスク地方は文化、言語も独特でカットソー以外にも帽子が有名ですし、食事が美味しい事でも有名なんですよね。 そのバスク地方で、古くから漁師の為に作られていた服があって、それを専門的に作るセントジェームスというブランドができたのが130年ぐらい前の話なんです。 で、その他にもルミナス、オーシバルといったメーカーがバスクシャツをメインアイテムとして展開しだしたと。 この、フランスで100年以上愛され続けているカットソーを、「お洒落アイテム」としてファッション雑誌等が取り上げ出したんですよね。 1枚は持っておきたい普遍的名品として。 ただ、バスクシャツは結構クセのあるアイテムでもあったりします。 ボーダー柄というのは漁師が海に落ちた時に見付けやすい柄がルーツらしいのですが、その他にも特徴があって、ボートネックもそのひとつですね。 普通Tシャツの首元ってクルーネックという丸首で、リブが付けられていて伸縮性がありつつ生地が伸びちゃわない様に補強されてるじゃないですか。 バスクシャツってあれがなくて首元が横長に開けられているんです。 だから普通のTシャツに比べて首元の肌が広く露出して、ちょっとフェミニンな感じが出るんですよね。 これは前後ろの区別をなくしてどちらからでも着られる様にというのがルーツのデザインらしいのですが、これが男性の場合、人によっては似合わない事があるんです。 人を選ぶってヤツですよね。 それとバスクシャツというのは基本は長袖なんですけど、袖丈が九分丈が定番だったりします。 勿論半袖や七分丈、十分袖の物も売ってますけど、定番は九分丈で、これもやはり漁師の為の服がルーツなので、海風を防ぎつつ袖口が濡れない様にという工夫なんだそうです。 だから所謂萌え袖はできないw あと、生地も海風を通さない様に目の詰まったコットン地なんですが、これが洗濯すると結構縮む。 まして乾燥機にかけてしまうとギュッと縮んじゃうので、お店でジャストサイズを買ってきても洗濯したら一発で着れなくなっちゃったりするという。 だから買う時は1~2サイズ上を買っておかなきゃいけないんです。 そして最大のクセがお値段。 セントジェームスの一番定番のウェッソンというシャツで、だいたい9000円ぐらいします。 ロンT1枚に9000円出すって、結構ですよね。 そしてそれが一発の洗濯で着られなくなったらもう泣きますよねw といった、なかなかの曲者アイテムが「一枚は持っておきたい普遍的名品」なんていってお洒落雑誌に取り上げられるというね。 まあ良くある話ですが。 で、色んなアパレルメーカーが、このバスクシャツのデザインをサンプリングし出すんです。 九分丈の袖の、ボートネックの、ほっそいボーダー柄のTシャツを作れば、パッと見はバスクシャツと同じですもんね。 生地感が違っていても、そもそも本物のバスクシャツの生地を知らない、雑誌やネットでしか見た事のない人は知る術もない。 そしてそうやって作られた「なんちゃってバスクシャツ」は、当然本物より安いですよね。 9000円もするロンTなんてそうそう無い。 で、ファッション雑誌を見て、「バスクシャツ欲しいけど高いなぁ~」と思ってた人達の何割かは、この「なんちゃってバスクシャツ」を見て、「俺これでいいや。」になる。 正直俺も本物を無理して買わなくても良い派ですね。 いや、ま、て言うか買わないですけど。 ファッションカブりたくないおじさんなのでw こうして服装に気をつかうお洒落さん達の間に、頑張って本物のバスクシャツを買う人達と、なんちゃってで済ます人達とで、ほっそいボーダーのTシャツが広まっていったと。 それを見て「良いなアレ」と思った、そもそもバスクシャツという物を知らない人達も真似し出す。 アパレルメーカーも「ほっそいボーダーのTシャツ売れる」となって、ボートネックとか袖丈の特徴はほったらかしの、ただほっそいボーダー柄のTシャツを売り出す。 どこの服屋にもほっそいボーダーのTシャツが置いてあるという状況が出来上がる。 ファッションって、「こういう服が好き。」と言って自分本位で選ぶ人と、「服装に気を使っている、お洒落な人と『思われたい』。」とか、「最低限、ダサい人と『思われたくない』。」という、評価の基準を他者に置いてるタイプの人がいて、後者の人達にとって「大勢が着ている服」って「アレは着ていても恥ずかしくないヤツって事でOKなのね。」という免罪符になるから、皆が着てると欲しくなるんでしょう。 なんか日本人って特に、「みんなが欲しがってるものが欲しくなる」傾向が強いですよね。 ずっと前から普通にあった、最近だとヤクルト1000とか、ちょっと前だとミロとかさ。 なんだったらそれが何故人気なのかは知らないまま、品薄で手に入りにくいと聞いたら欲しくて堪らなくなっちゃって、メルカリとかで高額で買っちゃったりとかねw 個人的にはアホくさって思いますけどね。 ちょっと話が逸れましたが、こうしてバスクシャツでも何でもない、ただのほっそいボーダーのTシャツをどいつもこいつも着ている状況の出来上がりという訳。 こうなっちゃうとファッションカブりたくないおじさんの俺なんかは本物のバスクシャツも買いたくなくなっちゃうっていうね。 まあ人からプレゼントされたら普通に喜ぶけどねw まあこんなこじれ方は皆さんはしなくていいので、普通に「お洒落」「可愛い」と思ったら着てください。 本物のウェッソンはかなり厚手の生地なので、むしろこれからがシーズンですから。 ボーダーというとマリン系=夏アイテムも思われがちですけどね。 漁師さん達は寒くても海で働くのです。 と、若干嫌みったらしい文章を今回はお届けしてみました。 たまに良い人を演じるのがイヤになって本性をさらけ出したくなっちゃうのです。 正直者なので。 おしまい。