2023年5月1日月曜日

改めまして、マルチヴァース

  どうも、髭剃りの替刃の値段が高過ぎると思ってるkazuitです。

 分かっていても買う時に「マジか…」ってなりますよね。
 でも、刃を替えたての髭剃りで髭を剃ると「昨日までの俺は何をや
っていたんだ。」ってなるんですよね。

 という書き出しとは全く関係無い本編に早速いきましょうw

 この間、アメリカのアカデミー賞で「エブリシング・エブリウェア
・オール・アット・ワンス」という映画が各賞を総なめにした事で話題になりましたよね。タイトルが長ったらしいので「エブエブ」なんて略されたりして。

 大きな話題の一つは主演のミシェル・ヨーさんがアジア人として初
めて主演女優賞をゲットしたというところでした。
 ミシェル・ヨーといえばジャッキー・チェンの主演・製作の香港映
画に出演してジャッキーをも食うぐらいのアクションのキレを披露して一躍有名になった方なので、今回の件の報道でマレーシア出身と聞いて驚いた人もいたんじゃないでしょうか。
 ハイ、ワタシの事です。普通に中国人だと思ってましたw

 で、それともう一つ、この映画がマルチヴァースというSF要素を
話の軸としていて、尚且つ勿論ミシェル・ヨーさん主演なのでアクション映画でもあるという物なのに、アカデミー賞の謂わば総合優勝とも言える作品賞を獲ったという事も話題となりました。

 アカデミー賞といえばアクションやSF、ファンタジーといったジ
ャンルにはカラくて、視覚効果や美術、音響、衣装といった部門賞は与えても、作品賞は獲らせないというのが通例となっていましたよね。
 スピルバーグが「未知との遭遇」や「ET」、インディ・ジョーン
ズシリーズ等をいくらヒットさせても作品賞を獲れず、実話を元にした「シンドラーのリスト」を撮ったらあっさり作品賞をゲットしたのは最早ネタとして扱われてるぐらいだし、ジェイムズ・キャメロンが「アバター」で、自身が「タイタニック」打ち立てた観客動員記録を更新した時には「とうとうSF映画に作品賞が与えられるんじゃないか」と話題になったものの、蓋を開けてみるとキャメロンの別れた元奥さんが撮った戦争映画に当て付けの様に作品賞が与えられるなんて事もありました。

 ところが数年前にギレルモ・デル・トロが撮った「シェイプ・オブ
・ウォーター」という、口のきけない人間の女性が半魚人と恋に落ちるという「逆・人魚姫」みたいな映画に作品賞が与えられて、アカデミー賞の風向きが変わってきたのかなという感じになってきてたんですけど、そこにきて今回のエブエブの受賞という事で、こういう映画でも作品賞を獲れるんだというのが、アカデミー賞の長い歴史の一つの転換期と取れるという事で話題となったという訳です

 で、映画好きなら最近ちょくちょくこの「マルチヴァース」という
言葉を目にするなぁと思っている人もいるんじゃないでしょうか。
 また一方で「マルチヴァースって何なの?」と思ってる方もいるん
じゃないかと思います。

 マルチヴァースって日本語約すると「多元宇宙」なんです。
 ここのブログを以前から読んでる方なら見覚えがあると思います。
 一昨年、我々cunoがアルバム「xenolith」をリリース
し、それに伴ってその裏話的な事をここのブログに書いたんですけど、この中でウチの作曲家先生oceanfrequencyが口を開けば多元宇宙、平行世界なんて話をし出すなんて事を書いたんですよね。
 で、その後、多元宇宙、平行世界なんてネタの総本山的な存在とし
てクトゥルフ神話を紹介した事もありました。

 まあ、ていうか、xenolith収録曲の「wall」の中に「
マルチヴァース超える」って歌詞があるんですけどね。

 で、じゃあそのマルチヴァースって何なのかというと、一言じゃ説
明出来ないんですけどw、映画等のエンタメで扱われてるものに限って言えば、平行世界とほぼ同じと思って良いんじゃないでしょうか。

 「イヤだから、その平行世界も分かんないのよ」と思った方もいら
っしゃったかもしれませんが、平行世界を英語でいうと「パラレルワールド」ですね。
 パラレルワールドなら聞き覚えありますよね。

 クトゥルフは1900年代から書かれ出した怪奇ものの小説ですが
、その後1950年代になってSF小説のブームが興ります。
 トム・クルーズ主演の「宇宙戦争」やウィル・スミス主演の「アイ
・ロボット」といった映画の原作となる小説はこの頃に書かれた物なんですよね。
 また一昨年、日本で山﨑賢人主演の「夏への扉」という映画が製作
・公開されて、たいして話題にならなかったんですがw、この映画の原作もやはり、1950年代に書かれた小説なんです。

 「夏への扉」はSFとしてのリアリティという部分では正直そこま
でではないものの、ストーリー展開の面白さと軽妙な雰囲気で大変人気の小説で、またボリューム的にもそんなに長くないのでSF小説の入門編みたいな扱いたったりします。
 勿論俺も大好きな作品です。

 で、この「夏への扉」がタイムマシン、タイムトラベルをネタにし
た作品なんですよね。

 タイムマシンものってこの頃、1950年代から沢山の作品が産み
出されているんですが、我々はドラえもんのお陰でかなりこのタイムマシンというものに馴染んでしまっていて、もしかしたら未来に実現されると思ってる人までいるかもしれません。

 しないんですけどね。
 この話をし出すとブログ一本分費やす事になるので詳しくは書きま
せんけど、未来に行く術は無くもないんですけど過去に戻る手段は無いというのが現在の科学の常識なんですね。

 なのでタイムマシン、タイムトラベルものって実はリアリティとい
う面ではアレな感じなんですが、それをテーマにした作品が色々作られていった中で矛盾というか疑問点というのがどうしても出てきちゃうんですよね。
 「過去に戻って歴史を変えたんだったら、変えられる前の世界なん
て無くなってるんじゃない?」という。
 でも、その「変えられる前の世界」を描かないとお話にならない。

 ここで出てくるのが「パラレルワールド」なんですよね。
 元の世界も変えられた後の世界も、両方同時に存在するという。

 転じて、歴史上の「if」で現実とは違う流れになった世界という
のも同時に存在する、みたいなパラレルワールドものの作品も色々産まれていったんですけど、この手のパラレルワールドものを最近「マルチヴァース」って呼び出したというのが本当のところだったりするんです。大雑把に言うと。

 まあ、そうじゃないマルチヴァースものもちゃんと存在するんです
けどね。
 それこそ俺が中学生の頃に夢中になって読んでたマイクル・ムアコ
ック著のエターナルチャンピオンサイクルなんて、パラレルワールドじゃない多元宇宙の物語なんですよ。
 あ、これも以前書きましたけど、クトゥルフ神話から産まれた「英
雄コナンシリーズ」のヒットの影響で、ファンタジーというジャンルにもマルチヴァースが描かれるケースが多々あるんです。

 で、少し話を戻しますが、このマルチヴァースという言葉自体はも
う100年とか前のクトゥルフ神話の頃からエンタメ世界で使われていて、それがここ最近ちょくちょく目にする様になったというところなんですけど、多分そのきっかけになったのって2018年公開のアニメ版のスパイダーマン、「スパイダーマン:スパイダーバース」じゃないかと思うんですよ。

 スパイダーマンって色んなバージョンがあるじゃないですか。
 それこそコミック版が最初なんだけど、そのコミックがそもそも何
度もリブートされてたり、で、映画も色々、ゲームでも似て非なるストーリーのものが作られたり。
 その、色んなスパイダーマンが平行世界でみんな同時に存在してい
て、それが一同に会して強大な敵と戦うという内容のヤツですね。

 この映画はかなり面白くて、またCGが発達した事でマルチヴァー
スというものが映像として説得力のある表現で描けるというところを見せてくれたという点が素晴らしかったと思うんです。
 実際俺も子供の頃読んだエターナルチャンピオンサイクルの一作品
「エルリックサーガ」を、これなら映像化出来るかもなと思いましたもん。
 読んでた時はなかなか想像力が追い付かなくて、こんなの絶対映像
化出来ないだろうと思ったんですよ。

 で、マーベルの所謂MCU作品の一つ、ドクター・ストレンジの二
作目が「ドクター・ストレンジ : マルチバース・オブ・マッドネス」というタイトルで、勿論マルチヴァースをネタにしてる作品なんですけど、この映画の監督がサム・ライミなんですよね。
 サム・ライミといえば、トビー・マグワイア主演版のスパイダーマ
ンシリーズの監督。
 現在作られているトム・ホランド主演のMCU版スパイダーマンと
は正にパラレルワールドみたいな関係だったりします。
 で、このサム・ライミという監督が最初に話題になったのは「死霊
のはらわた」という低予算ホラー。
 これが「死者の書という書物に書かれた呪文のせいで、邪悪な存在
を呼び覚ましてしまう」という、モロにクトゥルフ神話の影響丸出しのストーリーなんですよ。
 もう絶対サム・ライミってクトゥルフ神話読んでる筈の人なんです
よね。

 という訳で、ここ最近やたら話題になってるマルチヴァース、実は
随分昔から所謂オタクはみんな知っていて大好きで、それが技術の発達のお陰でやっと映像化され出したら、その面白さにアカデミー賞まで動いてしまったというお話なのでした。

 こういうアングラ、サブカル的なものがメジャーの世界に躍り出て
くるのって、オタクには堪らない瞬間なんですよね。
 なのでキャッキャウフフとブログにしたためてみましたw

 今回はここまで。

 おしまい。