2016年12月5日月曜日

ロックの本質 その2 vol.2


vol.1 の続き
 
 このパンクが一大ムーブメントとなった結果、演奏の上手い人はダサいとされる時期まであって、丁度デビューを控えていたスティング擁するバンド、ザ・ポリスは普通に上手く演奏出来る技術があるにも関わらず、ダサいと思われたくなくてわざと下手に演奏していたんだそうです。
 しかしパンクは一時的なブームですぐに衰退してしまい、ロックの世界ではヘヴィメタルの台頭によって更に演奏技術が極限的にまで高まっていきます。
 で、当然反骨精神が黙ってない。(笑)
 1990年代始め頃、アメリカのシアトルでやはり既存のロックを否定するバンドが次々と現れます。
 絶望感や倦怠感といったより深いフラストレーションを、やはりプリミティブにエネルギッシュに叩きつけ、しかもヘヴィメタル時代を通過しているのでサウンドはよりヘヴィネス、ラウドネスを増していました。
 これがグランジです。
 彼らはファッション的にも華美な要素やメタル的なレザーファッションと一線を画す為、ネルシャツにジーンズ、アーミーブーツ姿だったので、グランジという言葉をファッション用語と思っている人もいるんじゃないでしょうか。
 で、この人たちは「演奏が上手いのはダサい」を通り越して楽器のチューニングをきちんと合わせないなんていう荒技で既存の演奏技術至上主義を否定した人たちなので、ここで大きな改革を起こします。
 それがギターソロの排除です。
 それまではロックミュージックの花形だったギターソロですが、これは演奏技術のひけらかしでありギタリストのオナニーだと。
 このギターソロダサい風潮のせいで、ロック界にその名を轟かせるスーパーギタリスト、スティーヴ・ヴァイさんが愛する息子さんから「お父さんの音楽はダサい!」と言われてしまうという悲劇が起こってしまったりしています。
 このグランジブームはやがてオルタナティブロックという、より大きなムーブメントに取り込まれ、またハードコアパンクとオルタナが入り混じってメロコアなんてジャンルが生まれたり、英国バンドのサウンドを取り込んだりしながらロック界に深く根付きました。
 なので今では普通に演奏の上手いバンドでもギターソロを入れない人たちが大勢いますし、それに特に違和感も感じない様になっていますよね。
 と、この様にロックが元々持っていた反骨精神がロックの歴史に現れて影響を及ぼすケースが過去にはあって、またこれからもあるのかも知れません。
 因みに現在準備中の我々cuno2ndアルバムには結構ギターソロが入っております。
 やべぇ歳がバレる。(笑)

終わり