2025年4月15日火曜日

お気に入りアルバム 2025年3月

  この原稿を書いてるのは4/9。
 現在oceanfrequencyのFacebookアカウントが乗っ取り被害にあってしまい、不正利用されて絶賛垢バン中です。
 いつもそちらからこのブログに飛んできてる方々にこの文章が届いてるのか不安なんですが、まあそんな事を気にしていても仕方無い
ので今回もやっていきますよ。

 という訳で毎月恒例、俺が先月にSpotifyでお気に入り登録
した新譜のご紹介。

 先ずはchloe moriondoの「oyster」。
 アメリカ人の、まだ22歳の女の子です。
 このアルバムではエレクトロポップをやってますね。
 でもピコピコと機械っぽいというよりは穏やかさというかホッコリ
感がある音楽をやってます。
 勿論クールな曲もありますが。
 洋楽に有りがちなヴァース、コーラス、以上。みたいな曲じゃなく
、ちゃんとヴァース、ブリッジ、コーラスという展開の曲が多いのが好印象。
 歌の方も良くて、歌唱力が高いというよりは自分の良さをよく分か
っていて、それを活かした歌唱法とメロディという感じです。

 次にlucy dacusの「forever is a feeling」。
 こちらはもう説明不要というか、待ってましたの1枚ですね。
 フィービー・ブリジャーズ、ジュリアン・ベイカーとのコラボプロ
ジェクト、ボーイジーニアスではグラミー賞をゲットしているアーティストです。
 もう貫禄というか横綱相撲という感じで、深みのある歌声を活かし
た素敵なポップソング集に仕上がってます。
 待ち望んでいたものをそのまま出された感じ。
 是非お聴きください。

 そしてgreat grandpaの「patience,moonbeam」。
 こちらはシアトルのバンドで、サウンドのベースはカントリーとか
フォークといったところにあるという、オーガニックな印象です。
 ところがここにビートルズからの影響を感じさせる展開力というの
が加わってくるんですよ。
 ビートルズファンならニヤッとしちゃうヤツ。
 その意外性が面白い。
 素朴感のあるヴォーカルと暖かみのある曲調という安心感のある組
み合わせに、ビートルズ的なアレンジの方向という意外性。
  ビートルズを知らない人でも全然楽しめると思います。

 3月は以上の3枚でした。

 で、1枚番外編的なヤツを。

 通常はスタジオ盤の新譜のみをご紹介してるんですが、ライブ盤で
1枚ご紹介したいものがあるんです。

 それがジョン・アンダーソンの「Live-perpetual change」で、これはthe band geeksと行ったライブからYesの楽曲のみを収録したもので
すね。
 ジョンとバンドギークスのコラボについてはスタジオ盤リリースの
際に少し触れたと記憶してますが、改めて説明するとバンドギークスはリッチー・カステラーノという人を中心に主にYouTubeで活動していたバンドでして、自分達の好きなハードロックやプログレの往年の名曲のカバーを完璧なテクニックで演奏するという集団でした。
 彼らは勿論イエスの曲も演奏していて、それがイエスのオリジナル
シンガーのジョン・アンダーソンの目に留まって一緒に活動することになったという、正に夢の様な事が起こったバンドなんですよ。

 俺はジョン・アンダーソンが大好きなんです。
 イエスというバンドは四大プログレバンドの一角と言われる存在な
んですが、その中でも特に好きなのがイエスでして、その理由がジョンの歌なんです。
 その少年の様な歌声が、複雑で長大なイエスの楽曲に一定のポップ
さを与えるという点が他のプログレバンドとの決定的な違いなのです。
 その声が余りにも特徴的な為、バンドギークスはイエスの曲をカバ
ーする時は女性のソプラノ歌手に歌ってもらってたぐらいで。

 ところがジョンはイエスをクビになってるんです。
 病気療養の為に一時的な脱退のつもりが、病気が治ってイエスに戻
ろうとしたら、ジョンの不在時に別のシンガーを加えて活動していたイエスから「いや、もう戻ってこなくて良い。」と言われてしまって。
 オリジナルメンバーなのに。

 ジョンは声だけでなく性格も少年の様な人で、それが現イエスのギ
タリストでリーダーのスティーブ・ハウとソリが合わないっぽいですね。
 以前ジョンが「イエスの曲の歌詞は全部僕が書いたんだぁ〜」なん
て言ったら、余所でハウさんから「私と(ベースの)クリス・スクワイアが書いた歌詞を、自分が書いたと主張する人がいるのは悲しい事だ。」とか言われちゃったりしてて。
 因みに言っておくとハウさんはイエスの2代目ギタリスト。
 オリジナルメンバーではありません。

 ジョンの子供っぽさを現すエピソードで、イエスの35周年ツアー
のビデオに収録されてる伝説的なMCがあって。
 「次にやる曲は、今は天国にいるプロデューサーのブルース・フェ
アバーンに『自分の事を思ってくれる人についての曲を書きなさい』とアドバイスされて作った曲で、貴方達ファンの事を歌った曲なんだ。」と。
 オーディエンスはワァーパチパチパチパチとなる訳じゃないですか

 ところがそこでジョンが言い放ったのが「でも歌詞を忘れちゃだっ
たから飛ばして次の曲にいって良い?」という笑
 キーボードのリック・ウェイクマンだけが爆笑する中、残りのメン
バーは「即興でインストゥルメンタルバージョンでやる?」と顔を見合わせる中、ジョンは「いや、思い出しながら歌ってみる。」と言って結局事なきを得るんですが、この天真爛漫さに付き合わされてたメンバーがジョンに「もう戻ってこなくて良い。」と三行半を突き付けてしまうという事態になってしまって、ジョンは人生を捧げてきたイエスをクビにされてしまうの。

 それでもさ、その代わりのシンガーが良いシンガーならばある程度
は納得できるんだけど。
 クイーンにおけるアダム・ランバート的な。
 ところがその代わりのシンガーが、ジョンが地声で歌っていたハイ
トーンパートをファルセットでしか歌えない様なヤツなのよ。
 正直ファンとしては「俺達のイエスを返せ!」と言いたくなるよね


 と思ってたところにバンドギークスとのコラボという、願ってもな
いかたちで現在のイエス以上の完璧さでイエスの楽曲を聴けるという、ジョンのファンにとっては胸熱な展開。
 現在80歳のジョンは流石に往年のパワーや透明感はないものの、
それでも凡百のロックシンガーには出せないであろうハイトーンを聴かせてくれて、それを支えるバンドギークスの演奏も熱が入っていて最高なんですよ。
 なんでもジョンがキーボード2人体制に拘ったんだそうで、過去の
イエスのライブ演奏に比べてもパワフルさが増してると感じられる出来なんです。
 圧倒的。
 もうこれは現在のイエス名義でリリースされている最新アルバムよ
りも絶対、断然お勧めなのです。
 というより現在のイエスは認めない笑
 オリジナルメンバーはもうひとりもいないしね。

 という事で、イエスを聴いた事のない人は先ずこのアルバムを聴い
てみてほしいです。
 名曲しか入ってないし演奏も完璧。

 ハァハァ、つい熱くなってしまった。

 という訳で、今回はこの3枚プラス1枚をお気に入り登録しました


 来月もお楽しみに。
 既に個人的大物アーティストのアルバムがリリース済みですよ。

 おしまい。