さて、xenolithの裏話もひとしきりし終えたので、いつもの駄話に戻りますw
で、何の話をしようかと考えたんですが、前回のブログでウチの作曲家先生oceanfrequencyが、口を開けば多元宇宙だの並行世界だのの話をし出しちゃうという話をしたので、今回はその手の話の総本山とでも言うべきクトゥルフ神話の話でもしてみましょうかね。
記憶力の高い方なら覚えてるかもしれません。
クトゥルフ神話の話をここでするのは初めてではないんですよね。
以前ファンタジーの話をした時、英雄コナンというヒロイックファンタジーの金字塔的名作がクトゥルフ神話の世界観を使って書かれた物だと書きましたよね。
その時の話の繰り返しになってしまいますが、クトゥルフ神話というのはH・P・ラヴクラフトという人物が100年位前に産み出した怪奇小説です。
で、その内容というのがそれまでの既存の怪奇物とは一線を画すもので、抵抗する事も躊躇われる様な宇宙規模の邪神が登場して人々を狂気や悪夢の中に引きずり込むといったものです。
で、その世界観をラヴクラフトだけでなく友人の作家仲間と共有して多人数でその設定や新作小説を作り上げていったという物なのですね。
ただ、その小説というのは当時、雑誌に連載されているだけで一部のファンしか読めない物でした。
ラヴクラフトは1930年代半ばで亡くなっていて、彼の死後、仲間の作家達がその作品群をきちんとした形で出版しようと活動しますが、大手の出版社には相手にしてもらえず、殆ど自費出版の様な形でアーカムハウスという団体を作って細々と活動していました。
ラヴクラフトの作品だけでなく他の作家が書いたクトゥルフ神話の小説もここで発表されていたんです。
アーカムという街の名前や、絶対に読んではいけない魔書ネクロノミコンなんてのは、クトゥルフ神話が由来なんですよね。
で、という事はつまり、ラヴクラフトの怪奇小説よりも先に、その世界観を使って書かれた英雄コナンというファンタジー小説の方が世間一般に知れ渡る形になったんですね。
コナンは大ヒット作品で、コナンの作者のハワードもやはり1930年代半ばに若くして亡くなっている作家なので。
クトゥルフ神話が世に広く知れ渡ったのは1970年代に入ってからで、イギリスのライターがファンタジーの世界を体系化する本を出版した中にコナンのルーツとして紹介していて、それがメジャーの出版社の出版物に初めてクトゥルフ神話の事が載った物だったそうです。
だから、ファンタジーの世界にはコナンの影響で、クトゥルフそのものではなくてもその世界観に近いものが当たり前に広まっていて、俺が中学生の頃に夢中で読んでいたムアコック作のエターナルチャンピオンサイクルというシリーズも、多元宇宙を転生して宇宙の均衡を乱す神々を倒すなんて話でした。
小説だけに留まらずコミックやゲームにも、そういう物は多いですよね。
そういった世界観と共にクトゥルフでもう一つ特徴的なのが、その設定をシェアして誰が新作を書いても良いというところで、この文化が後に意外な広がりを産み出すんですよね。
クトゥルフというと、「え、小説なの?」と思う人もいるかも知れません。
TRPGじゃないの?っていう。
で、一方で「TRPGて何?」という人も多いですよね。
TRPGというのはテーブルトークRPGの略です。
RPGはロールプレイングゲームの略だというのは分かりますよね。
まだビデオゲームというものが生まれる前、ゲームブックと双六のあいのこみたいな形のRPGが作り出されているんです。
ゲームマスターという進行役がシナリオを読み上げながらプレイヤーを誘導する形で冒険が進むもので、プレイヤーは様々な選択をしながらモンスターを倒したりお宝をゲットしたりするんです。
戦ったりする時はサイコロを使ってダメージなんかを出すんですよね。
サイコロというと立方体、六面のものを連想すると思うんですけど、もっと色んな多面体のサイコロがあるんです。
「人志松本のすべらない話」で語り部を決める時に転がしてるヤツ、あんな感じのですね。
で、普通に剣で戦う時は六面のサイコロ一個しか振れないけど、火に弱いモンスターに火の魔法を使う時は12面体を振って良いとか、途中こっちのダンジョンに寄り道して特定のアイテムをゲットしてればサイコロを二個振って良いとか。そういう遊び方をする物です。
このTRPGという物を世に広めたのがダンジョンズ&ドラコンズ、通称D&Dというファンタジー作品です。
70年代に発売されだしたので勿論ファミコンとか無い時代からあるもので、内容は指輪物語やコナンみたいな王道ファンタジーものでして、という事は当然クトゥルフの影響も入っているんです。
シナリオや、キャラクターの小さなフィギュア(双六の駒の様なもの)が色々発売されたんですけど、面白いのは発売されたシナリオを遊び尽くしちゃったマニアの間でオリジナルのシナリオを作り出す人達が出てくるんです。
ここにクトゥルフの文化、誰が書いても良いというのと共通するものが生まれるんですね。
で、D&Dはファンタジーなんですが、TRPGのシナリオとしてクトゥルフも出るんですよ。
クトゥルフって怪奇ものなので、モンスターと戦うというよりは悪夢の様な世界から逃れる脱出ゲームといった感じです。
で、勿論TRPGなんだしクトゥルフなので、これもオリジナルのシナリオを誰が書いても良いという文化なんですね。
だから今YouTubeでクトゥルフと検索すると、小説のクトゥルフよりもTRPGで遊んでる動画が沢山ヒットして、その中にはオリジナルシナリオのものも多いんですよ。
ちゃんと恐いものからギャグに走ったものまで色々あるので、皆でワイワイ遊んでる動画が再生数を伸ばしていて、だからそっちでクトゥルフというものを知ってるという人も多いんですね。
多元宇宙だの並行世界だのなんていうマニアックなものの筈のクトゥルフ神話が、いつの間にか皆でワイワイ遊べるゲームとして普及するという広がり方をしちゃってるんですね。
意外な所にクトゥルフの影響が見えるものというと、ディズニーの映画、パイレーツ・オブ・カリビアンですかね。
クトゥルフの最初の作品、「クトゥルフの呼び声」で、大昔に地球を支配していて現在は海底に封印されている旧支配者クトゥルフ神の容姿が描かれているんですが、その姿は巨大で鱗に被われた体に手足に鉤爪、背中に蝙蝠の様な羽根、頭は蛸の様で、口があるべきところに蛸や烏賊の様な触手が無数に生えてるというものです。
この「口に触手」というビジュアルがパイレーツ・オブ・カリビアンのキャラクター、デイヴィ・ジョーンズに現れてますよね。
そしてクトゥルフ神話の影響がガッツリ出ているもので大ヒットしたと言えば、Netflixのドラマ「ストレンジャーシングス」ですよね。
超能力を持った子供が集められた施設にいた少女が並行世界との扉を開けてしまい、この世ならざる化け物がこちらの世界に現れてしまうというモロにクトゥルフっぽいお話で、それプラス80年代前半という舞台設定が俺らオジサンには「懐かしい~!」ってなるっていう、もう凄ぇ面白いドラマです。
主人公の少年達はD&Dを夢中になって遊んでいるという、もう作り手の趣味モロ出しで、少年の一人が並行世界の巨大な化け物に悪夢の中で操られそうになり、その化け物の話を聞いた他の少年達が「デモゴルゴンだ!」と言い出してD&Dの設定資料を開いて「ほらコレ!」と指差した所に描かれているのが「イヤこれクトゥルフ神やんけw」ってなるっていう、お話面白いプラスマニア心をくすぐりまくる内容なので、Netflixに加入しててまだ観てないという方は是非観てみてください。
現在シーズン3まで公開されてて、シーズン4が今制作中で、最近そのシーズン4のトレーラーが公開されたんですが、俺は観ない様にしてますw
事前情報は入れない状態で観たいもん。
あとは、現代版クトゥルフとも言うべきSCPなんてのもありますが、SCPについて語り出すとまたここのブログ一本分でも足りないぐらいですんで、それはまた別の機会にしましょうかね。
という事で、ホントはまだまだ全然語り足りないクトゥルフのお話、ちょっと興味が湧いたりしたでしょうか。
とりあえずストレンジャーシングスから観てみて、面白いと思ったら色々検索してみて知識を広げていくというのでも良いんじゃないですかね。
今回はこの辺で。
おしまい。
で、何の話をしようかと考えたんですが、前回のブログでウチの作曲家先生oceanfrequencyが、口を開けば多元宇宙だの並行世界だのの話をし出しちゃうという話をしたので、今回はその手の話の総本山とでも言うべきクトゥルフ神話の話でもしてみましょうかね。
記憶力の高い方なら覚えてるかもしれません。
クトゥルフ神話の話をここでするのは初めてではないんですよね。
以前ファンタジーの話をした時、英雄コナンというヒロイックファンタジーの金字塔的名作がクトゥルフ神話の世界観を使って書かれた物だと書きましたよね。
その時の話の繰り返しになってしまいますが、クトゥルフ神話というのはH・P・ラヴクラフトという人物が100年位前に産み出した怪奇小説です。
で、その内容というのがそれまでの既存の怪奇物とは一線を画すもので、抵抗する事も躊躇われる様な宇宙規模の邪神が登場して人々を狂気や悪夢の中に引きずり込むといったものです。
で、その世界観をラヴクラフトだけでなく友人の作家仲間と共有して多人数でその設定や新作小説を作り上げていったという物なのですね。
ただ、その小説というのは当時、雑誌に連載されているだけで一部のファンしか読めない物でした。
ラヴクラフトは1930年代半ばで亡くなっていて、彼の死後、仲間の作家達がその作品群をきちんとした形で出版しようと活動しますが、大手の出版社には相手にしてもらえず、殆ど自費出版の様な形でアーカムハウスという団体を作って細々と活動していました。
ラヴクラフトの作品だけでなく他の作家が書いたクトゥルフ神話の小説もここで発表されていたんです。
アーカムという街の名前や、絶対に読んではいけない魔書ネクロノミコンなんてのは、クトゥルフ神話が由来なんですよね。
で、という事はつまり、ラヴクラフトの怪奇小説よりも先に、その世界観を使って書かれた英雄コナンというファンタジー小説の方が世間一般に知れ渡る形になったんですね。
コナンは大ヒット作品で、コナンの作者のハワードもやはり1930年代半ばに若くして亡くなっている作家なので。
クトゥルフ神話が世に広く知れ渡ったのは1970年代に入ってからで、イギリスのライターがファンタジーの世界を体系化する本を出版した中にコナンのルーツとして紹介していて、それがメジャーの出版社の出版物に初めてクトゥルフ神話の事が載った物だったそうです。
だから、ファンタジーの世界にはコナンの影響で、クトゥルフそのものではなくてもその世界観に近いものが当たり前に広まっていて、俺が中学生の頃に夢中で読んでいたムアコック作のエターナルチャンピオンサイクルというシリーズも、多元宇宙を転生して宇宙の均衡を乱す神々を倒すなんて話でした。
小説だけに留まらずコミックやゲームにも、そういう物は多いですよね。
そういった世界観と共にクトゥルフでもう一つ特徴的なのが、その設定をシェアして誰が新作を書いても良いというところで、この文化が後に意外な広がりを産み出すんですよね。
クトゥルフというと、「え、小説なの?」と思う人もいるかも知れません。
TRPGじゃないの?っていう。
で、一方で「TRPGて何?」という人も多いですよね。
TRPGというのはテーブルトークRPGの略です。
RPGはロールプレイングゲームの略だというのは分かりますよね。
まだビデオゲームというものが生まれる前、ゲームブックと双六のあいのこみたいな形のRPGが作り出されているんです。
ゲームマスターという進行役がシナリオを読み上げながらプレイヤーを誘導する形で冒険が進むもので、プレイヤーは様々な選択をしながらモンスターを倒したりお宝をゲットしたりするんです。
戦ったりする時はサイコロを使ってダメージなんかを出すんですよね。
サイコロというと立方体、六面のものを連想すると思うんですけど、もっと色んな多面体のサイコロがあるんです。
「人志松本のすべらない話」で語り部を決める時に転がしてるヤツ、あんな感じのですね。
で、普通に剣で戦う時は六面のサイコロ一個しか振れないけど、火に弱いモンスターに火の魔法を使う時は12面体を振って良いとか、途中こっちのダンジョンに寄り道して特定のアイテムをゲットしてればサイコロを二個振って良いとか。そういう遊び方をする物です。
このTRPGという物を世に広めたのがダンジョンズ&ドラコンズ、通称D&Dというファンタジー作品です。
70年代に発売されだしたので勿論ファミコンとか無い時代からあるもので、内容は指輪物語やコナンみたいな王道ファンタジーものでして、という事は当然クトゥルフの影響も入っているんです。
シナリオや、キャラクターの小さなフィギュア(双六の駒の様なもの)が色々発売されたんですけど、面白いのは発売されたシナリオを遊び尽くしちゃったマニアの間でオリジナルのシナリオを作り出す人達が出てくるんです。
ここにクトゥルフの文化、誰が書いても良いというのと共通するものが生まれるんですね。
で、D&Dはファンタジーなんですが、TRPGのシナリオとしてクトゥルフも出るんですよ。
クトゥルフって怪奇ものなので、モンスターと戦うというよりは悪夢の様な世界から逃れる脱出ゲームといった感じです。
で、勿論TRPGなんだしクトゥルフなので、これもオリジナルのシナリオを誰が書いても良いという文化なんですね。
だから今YouTubeでクトゥルフと検索すると、小説のクトゥルフよりもTRPGで遊んでる動画が沢山ヒットして、その中にはオリジナルシナリオのものも多いんですよ。
ちゃんと恐いものからギャグに走ったものまで色々あるので、皆でワイワイ遊んでる動画が再生数を伸ばしていて、だからそっちでクトゥルフというものを知ってるという人も多いんですね。
多元宇宙だの並行世界だのなんていうマニアックなものの筈のクトゥルフ神話が、いつの間にか皆でワイワイ遊べるゲームとして普及するという広がり方をしちゃってるんですね。
意外な所にクトゥルフの影響が見えるものというと、ディズニーの映画、パイレーツ・オブ・カリビアンですかね。
クトゥルフの最初の作品、「クトゥルフの呼び声」で、大昔に地球を支配していて現在は海底に封印されている旧支配者クトゥルフ神の容姿が描かれているんですが、その姿は巨大で鱗に被われた体に手足に鉤爪、背中に蝙蝠の様な羽根、頭は蛸の様で、口があるべきところに蛸や烏賊の様な触手が無数に生えてるというものです。
この「口に触手」というビジュアルがパイレーツ・オブ・カリビアンのキャラクター、デイヴィ・ジョーンズに現れてますよね。
そしてクトゥルフ神話の影響がガッツリ出ているもので大ヒットしたと言えば、Netflixのドラマ「ストレンジャーシングス」ですよね。
超能力を持った子供が集められた施設にいた少女が並行世界との扉を開けてしまい、この世ならざる化け物がこちらの世界に現れてしまうというモロにクトゥルフっぽいお話で、それプラス80年代前半という舞台設定が俺らオジサンには「懐かしい~!」ってなるっていう、もう凄ぇ面白いドラマです。
主人公の少年達はD&Dを夢中になって遊んでいるという、もう作り手の趣味モロ出しで、少年の一人が並行世界の巨大な化け物に悪夢の中で操られそうになり、その化け物の話を聞いた他の少年達が「デモゴルゴンだ!」と言い出してD&Dの設定資料を開いて「ほらコレ!」と指差した所に描かれているのが「イヤこれクトゥルフ神やんけw」ってなるっていう、お話面白いプラスマニア心をくすぐりまくる内容なので、Netflixに加入しててまだ観てないという方は是非観てみてください。
現在シーズン3まで公開されてて、シーズン4が今制作中で、最近そのシーズン4のトレーラーが公開されたんですが、俺は観ない様にしてますw
事前情報は入れない状態で観たいもん。
あとは、現代版クトゥルフとも言うべきSCPなんてのもありますが、SCPについて語り出すとまたここのブログ一本分でも足りないぐらいですんで、それはまた別の機会にしましょうかね。
という事で、ホントはまだまだ全然語り足りないクトゥルフのお話、ちょっと興味が湧いたりしたでしょうか。
とりあえずストレンジャーシングスから観てみて、面白いと思ったら色々検索してみて知識を広げていくというのでも良いんじゃないですかね。
今回はこの辺で。
おしまい。