2022年5月2日月曜日

帰ってきたソウル part.2

part.1 の続き

  何でこんな手段に行き着いたかというと、やはりアルバカーキという環境ですね。  実はウォルターの奥さんの妹の旦那さんというのが麻薬捜査局の捜査官で、ドラッグなんかとは全く無縁な善良な市民と思っているウォルターに自身の仕事の話をペラペラと喋っていたんですね、日常的に。  だからウォルターはこの町にドラッグがどのくらい蔓延していて、どのくらいの大金が動いているかを知っていたんですよ。  それに加えてウォルターのかつての教え子で今は町のチンピラになってその日暮らしをしているジェシーという奴が、実際に自分でドラッグを手作りして売り捌いているという事も知っていた。  このジェシーに「自分が化学の知識を駆使してドラッグを作れば市場を独占できる。大儲けできるぞ。」と口説いて仲間に引き入れるんです。  こうして何食わぬ顔して日常生活を今までと変わらず送りながら、ウォルターは秘密裏にドラッグの精製に手を染めていく事になるのですが、 勿論そんな悪事が思い通りに進む筈もなく、次から次へと思ってもみなかったトラブルが引き起こされていくんです。  まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」方式に、一つの問題を解決しようとした筈の行動がまた新たな問題を生み出し、坂道を転がる雪玉の様に大きくなっていってしまう様子が、このドラマでは描かれていくんです。  まあ、このドラマ全体がかなりキツいブラックジョークで、決してシリアスなものではないんですが、人間というものの愚かさというものがコレでもかと暴き出され続けて、観ている者は「バカだなぁ」と思いつつも「いや、でも人ってこういうモンだよなぁ。」と思わざるを得ない。ここまで大事ではないものの、自分だって色んなバカを繰り返してきて生きてきたという現実を思って、主人公をはじめとする登場人物達を憎めないまま、ドンドン転がっていくストーリーから目が離せなくなるんですよね。  兎に角滅茶苦茶面白いです。  で、この「ブレイキングバッド」は5シーズンで終わります。  まあ観やすい長さですよね。他の有名海外ドラマと比べると。  で、その後、「ブレイキングバッド」の終了の2年後の2015年から、スピンオフの「ベター・コール・ソウル」が始まります。  これは「ブレイキングバッド」に登場したインチキ弁護士ソウル・グッドマンが、いかにしてそんな人物になったのかという前日譚に当たります。  だから、「ブレイキングバッド」より前の話になるんですね。  ストーリーとしては、このソウル・グッドマンには実は滅茶苦茶優秀なお兄さんがいて、子供の頃からそのお兄さんとの比較というコンプレックスに晒されてきてたんです。  で、この優秀なお兄さんは弁護士となって大きな事務所を設立して大活躍、誰からも尊敬される存在になり、弟のソウルは兄の事務所で下働きの様な事をしながら自身も弁護士を目指すのですが…という様なお話です。  勿論「ブレイキングバッド」には弁護士として登場する訳ですから弁護士の資格をとる事には成功するんですが、その後も兄との比較は続きます。  大物弁護士となって大企業の法律顧問等で稼ぐ兄に対抗する様に、ソウルは小さな案件ばかりに首を突っ込みます。  町には交通事故や窃盗事件を起こしてしまう者も沢山いて、そういう人達にも裁判は開かれ、そこには勿論弁護士も必要になってくる。  そんな所でソウルは兄とは違う道で成功を掴もうとします。  何しろ兄との比較にずっとさらされ続けたソウルは悪知恵だけは矢鱈と働くものだから、ちょっときた成功を掴んだり掴まなかったり掴まなかったり掴まなかったりするんですが、そこは「ブレイキングバッド」のスピンオフ、思いもしなかった展開が待っています。  なんと、滅茶苦茶優秀だった筈の兄がパラノイアに取りつかれてしまい、電磁波恐怖症という訳の分からない状態に陥ってしまうんですよ。  電磁波なんて自然界にも当たり前にあるし、テレビだの携帯電話なんてもっての他。  お兄さんは真っ暗な家の中に引き込もってしまい、ソウルは兄の為に食料品等を買い出しに行って届けるという事をしなければならなくなってしまうんです。  こんな感じのところからストーリーはどんどん進んでいって、シーズン5まで達しても、まだ「もうちょっとで『ブレイキングバッド』に追い付くかな?」ぐらいのところまでの進行具合だったんですが、このシーズン5からずっと配信がストップしちゃってたんですよね。  主演をつとめるボブ・オデンカークさんが撮影中に心臓発作で倒れてしまい、それで製作者を中断せざるを得なくなってしまっていたんです。  で、その「ベター・コール・ソウル」ファイナルシーズンが、いよいよ配信される運びとなったので、もしまだ観てない方がいらっしゃったら是非紹介しなければと思って、今回のブログのネタはこれになったという訳です。  因みに「ブレイキングバッド」のスピンオフはこの他にも「エル・カミーノ」という2時間サイズの映画があります。  これは「ブレイキングバッド」のもう一人の主人公とも言うべきジェシーが、その後どうなったかを描いた作品で、2019年に配信されています。  これらは全部Netflixで視聴可能です。  ネトフリは他にも「ストレンジャーシングス」のシーズン4ももうすぐ始まりますし、月額費を余裕で元とれちゃいますよ、個人的に。  まだ加入してない悪い子はいないですよね?(回し者)  折角ですからAmazon Fire TVを利用して、大画面テレビで観てほしいですね。(回し者)  おしまい。