2022年4月18日月曜日

帰ってきたソウル part.1

  今日は「ベター・コール・ソウル」のファイナルシーズンが配信開始となるのが嬉しいよ、という話です。  「ベター・コール・ソウル」って何? という方でも、「ブレイキングバッド」なら聞いた事があるのではないでしょうか。  「ベター・コール・ソウル」は「ブレイキングバッド」のスピンオフ作品です。  そう、今回は海外ドラマのお話です。  「ブレイキングバッド」は海外ドラマの中でもかなり評価の高いものなので、まだ観てない方の為に是非ご紹介しようと。  「ブレイキングバッド」は2008年から5シーズンに渡って制作されたドラマで、舞台はアメリカのニューメキシコ州アルバカーキという、アメリカ最南端の町です。  少し車で走ると砂漠地帯が広がり、南にずっと向かうとメキシコとの国境があるという場所。  少し前にトランプ氏がメキシコとの国境に壁を作ると宣言した事からも分かる通り、メキシコとアメリカの間には移民の問題があるんですが、その他にもメキシコのマフィアが組織的にドラッグを密輸したりしていて、だからアルバカーキには普通の警察の他に麻薬捜査局も常駐しているという、なかなかに物騒な所なんですね。  で、「ブレイキングバッド」の主人公はウォルター・ホワイトという高校の化学教師です。  高校教師といっても公務員ではなく、学校に雇われている契約職員ですね。  ですがこの人、実は凄い化学知識の持ち主で、かつては学生時代の友人と3人で会社を興しているんです。  ところがこの3人というのが男2女1という構成で、まぁお察しの通り仕事以外の部分で揉めてしまい、ウォルターは自分の会社における権利を二束三文で売り払って会社を辞めてしまったという過去があるんです。  そしたらその会社はウォルターの残した知識を利用して大儲けしてしまい、会社に残った2人の男女も結婚して優雅な生活をしていて、地元の名士みたいな存在になってしまってるという。  そんな成功をみすみす棄ててしまったウォルターですが、彼は彼でまた別の女性と結婚して子供も産まれます。  ところがこの子供が脳性麻痺という障害を持って産まれてきてしまって、松葉杖がなければ歩けず、言葉もはっきりと喋れないという状態。  それでも慎ましく暮らしていて、子供も高校生にまで成長したのですが、ここで奥さんが予定外の妊娠をしてしまいます。  勿論子供を授かるのは幸せな事ではあるんですが、共働きだった奥さんは仕事を休まずを得なくなり、ウォルターは家族を養いつつ、新たに産まれてくる子供を迎える為の準備もしなければならなくなってしまいます。  仕方なくウォルターは高校での授業が終わった後、洗車場でレジ打ちのバイトをする事になります。  なんだけど、この洗車場も人手不足で、レジ係として雇われた筈のウォルターも洗車をさせられちゃうんですよね。  アメリカって州にもよるけど高校生でも免許とれるし、アルバカーキみたいな田舎町だと車は必須だから、ウォルターの働いてる洗車場にも教え子の高校生が来ちゃうんですよ。  さっきまで化学の授業を受けてたのに、その教師が膝をついて自分の車のホイールを磨いてるなんていう、何とも言えない状況。  そんな思いまでして必死に家計を支えてきたウォルターに待っていたのはしかし、癌宣告でした。余命は2~3年だというの。  国民健康保険の制度がしっかり整っている日本でも癌の治療となるとそれなりのお金が掛かりますが、アメリカは医療費はその比じゃない。  救急車に乗って病院に搬送されるだけで州によっては20万円くらい、搬送先の病院に2~3日入院なんてしたら、途端に100万円以上の支払いを要求されてしまうのがアメリカの抱える医療費問題。  ウォルターは高額な治療費を払いつつ、自身に残された期間で新しく産まれてくる子供も含めた家族が暮らしていけるだけの大金を稼がなければならないという事になってしまったんです。  かつて一緒に会社を興し、今は大金持ちになっている夫婦から援助の申し出もあったのですが、最早この2人に憎しみに近い感情すら抱いているウォルターはこの申し出を意固地になって突っぱねてしまうんです。  そんなウォルターが金を稼ぐ手段として選択したのは、なんと「化学の知識を活かして高純度のドラッグを作って売る」という方法だったのです。

part.2 へ続く

2022年4月4日月曜日

ループのすすめ~ゲーム編

 前回の「映画編」からの続きです。

 

映画も沢山あるんですが、ゲームにもループものを題材にしたものが増えてきましたね。  まあ、そもそもゲームってループもの的な要素はあるんですよね。  スーパーマリオだってミスしたらスタートに戻って繰り返しプレイする訳だし、RPGは死んでしまってもセーブポイントからやり直せるんですから。  そんな中でも明確にループをテーマに持ってきたものの始祖と呼べる作品は「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」でしょう。  これはニンテンドー64で発売されたソフトで、伝説的名作「時のオカリナ」の後に出たものです。  同じ64のソフトという事でグラフィックやインターフェイスは「時のオカリナ」を流用しつつ、3日間をループするというシステムを採用したゲームですね。  3日経つと月が落下してきて世界が破滅してしまい、また1日目に戻されてしまう。  それを止める為に知識やアイテムを集める冒険がメインとなるんですけど、それをそっちのけでハマってしまうのが街の住人達が3日間どんな風に過ごしてるのかを観察するストーカー行為だったりしますw  何言ってんだと思うかも知れませんが、コレ、やったら分かります。  住人達にも日々の生活があり、人間関係があり、悩み事があります。  特定の人物が特定の時間に特定の場所で様々な行動をとる。  それを観察して、時には手助けして廻るのが楽しいんですよ。  ただ、このゲーム、ちょっと難易度が高めなのが玉に瑕。  「時のオカリナ」の後に発売された事もあって、「このゲームの基礎はもう学んでますよね。」ぐらいのスタートラインなんですよね。  だから先ずは「時のオカリナ」をプレイしてから手を出す事をお勧めします。  最近の作品だと、その名も「デスループ」というのがありましたね。  主人公の男が宿酔いで浜辺で目覚めたら、そこはループに囚われている小島で、死んでも、生きて普通に眠って翌朝を迎えても、宿酔いで浜辺で目覚めるところに戻ってしまう。  主人公が色々探った結果、24時間中に8人の特定の人物を殺す事でループから抜け出せるらしい事が分かって、それを実行しようとループの中で手筈を整えていくんですけど、主人公以外の島民は皆このループ生活を満喫してるんですよ。  そりゃそうですよね。歳もとらず死んでもその日の朝に戻る、謂わば不老不死なんだから。全員パーム・スプリングス状態。  という訳でループを止めようとする主人公の邪魔を全力でしてきます。  そういうゲーム。  あとは「リターナル」というゲームもまあまあ話題になりました。  未来の世界、企業に雇われている女性宇宙飛行士がある惑星に調査に向かうのですが、乗っている着陸艇が墜落してしまう。  降り立ったその惑星で見付けたのは、なんと自分自身の死体と、「この星でループに囚われている」という自分自身が残したメッセージログ。  訳も分からず惑星をさまようと、そこの生物達は敵意を剥き出しにして襲いかかってくる。  そして死んでしまうとメッセージログの通り不時着地点で生き返る。  そんな世界で主人公は地球に戻る為に戦いを繰り返していくというゲームです。  このゲーム、ジャンルで言うとアクションシューティングなんですが、兎に角滅茶苦茶難しいです。  何しろ死んでもループするというのをテーマにしてる訳ですから、プレーヤーに死んでもらわないといけないんだもの。  しかもね、お話の方も難解なんですよこのゲーム。  ゲーム自体を何周かしないと真のエンディングが見れない仕組みになってるんですけど、その真のエンディングを見ても「え、待って、これで終わり?」みたいな、明確な種明かしを避けたかたちで終わってしまうの。  「はい、あとは皆さんで好きに考察してくださいね。」っていう、「2001年宇宙の旅」とか「エヴァンゲリオン」みたいなタイプの終わり方をするんです。  なので、とても万人にお勧めできるものではないですw  斯く言う俺もゲーム実況者の方がYouTubeに上げた動画で観たクチでしてw  ただ、ゲームを何度か周回するって言いましたけど、その1周目と2周目の間の演出が兎に角凄い。  久々にゲームで「うおぉ、マジか…」ってなりました。  そこは一見の価値有りです。  で、上記の3本はメジャーなタイトルなんですけど、インディーゲームにもループものがあります。  ちょっと前に話題になったのが「12ミニッツ」というゲームで、ある男が仕事から帰宅して奥さんと普通に過ごしていたら、突然知らない男がやってきて殺されてしまう。  そうすると何故か帰宅するところに戻ってしまうので、なんとか殺されない様に手を尽くしたり、何故見知らぬ男が殺意を持って訪ねて来るのかを探ったりするというミステリー色の強いゲームです。  インディーゲームらしくシンプルな映像でステージも主人公の暮らすアパートの中だけという、かなりミニマムな世界の中で何度も殺されてはループして、その度に違った行動を試してみてという試行錯誤が楽しいゲーム。  ただ、ゲーム、遊びとしては楽しいんですがお話の方は俺的には「ん?」と思う点もなきにしもあらず。  あとインディーゲームでループといったら何と言っても「outer wilds」を紹介しない訳にはいきません。  ゲーム開始から22分後に恒星が爆発してしまうという危機を主人公がループを繰り返しながら宇宙を探索して謎を解くという、俺の様なSF脳がヨダレを垂らす設定のゲームです。  まさに宇宙版ムジュラの仮面的な名作。評価も非常に高いです。  こんな感じで、ループものというジャンルに的を絞ってもこれだけ多種多様の作品が映画、ゲームを問わずあるので、ここからきっかけにSFの世界に興味を持っていただける人が増えると良いなぁと、SF大好きおじさんは思っているのでした。  おしまい。