本文に入る前に一つご報告。 Spotifyでの我々のアーティスト名、正しくcunoとなりました。 oceanfrequencyがSpotifyに訴えてみたところ、修正してくれたそうです。 まあ、そりゃそうだよねって話なんですけどね。 我々cunoで商標登録してあるんだから、この名前使えない筈がないんです。 ただ、海外の感覚だと例えアーティスト名だとしてもアルファベット小文字から始まるというのは一般的でないからなんでしょうね。 別に我々も小文字にこだわったわけじゃなく、3Mの液体用金属フィルターCUNOというのが既にあったから小文字にせざるを得なかっただけなんですけどね。 まあなんにしろ良かったです。幾らなんでもC-Unoは駄目だもんw て事で本題です。 以前ここのブログで竹取物語の事を書いた時に、「映画『かぐや姫の物語』でかぐや姫を女御に、と言ってて違和感があった」云々といった事を話して、女御と更衣の違いを説明した事があったんですけど、コレ読んで「何でこの人こんな事知ってるの?」と思われた方もいらっしゃったかと思います。 ハイ、アタクシ、源氏物語も既に読了済みなんですね。 と言っても、勿論原文を読んだ訳ではないです。 そんな頭良くないw で、普通の現代語訳、例えば瀬戸内寂聴さんの書いたものとかを読んだのかというと、実はそれも違うんですよ。 俺が読んだのは故・橋本治さんという方が書かれた「窯変源氏物語」というものなんです。 橋本治さんというのは東大文学部卒の作家さんなので古文なんかもすらすら読めちゃう人なんですよ。 俺がこの人を知ったのは高校時代、故・影山民夫さんのエッセイを読んでたら、影山さんが「この人は絶対天才」と橋本さんの事を絶讚してたんですね。 それで興味を持って調べてみたら、橋本治さんは「桃尻娘」の原作者だったの。 若い人には「は?」って話ですよね。 昔々、日活という映画会社がエッチな映画を次々に作ってた事があって、それを総括して「にっかつロマンポルノ」と呼んでいたんですけど、その中の一作が桃尻娘だったんです。 昔は今に比べて色々とおおらかだったので、深夜にテレビでロマンポルノが放送されてたりして、俺ら世代は大体観た事あるんですよ。(というか、VHSに録画したりしてたw) だから桃尻娘の原作者だと知って、「そうなの?」と思って買って読んでみたら全然エロくないのw 多分桃尻娘というタイトルのインパクトだけで原作として取り上げたんでしょうね。 内容は学園祭を成功させようと奔走する女子高生のお話でした。 で、この小説は一人称、主人公の女子高生の視点で書かれてるんですよ。 前述した様に橋本さんは東大出身の男性なんですけど、小説は完全に女子高生目線、女子高生口調で書かれてるっていう。 こんな風に誰かに「憑依」するのが得意な方なんですね。 で、古典も読めるという特技も活かして「桃尻語訳 枕草子」なんてのも書いてたりします。清少納言が書いた随筆を女子高生口調に直しちゃってるってヤツ。 俺の読んだ「窯変源氏物語」というのは、元々紫式部が三人称で書いた源氏物語を主人公の光源氏視点で私小説に書き替えたものなんです。 つまり、橋本治さんが光源氏というキャラクターに憑依して書いたみたいな。 で、そこに様々な補足説明的なものも追加してあるので、平安時代当時の風習とか現代人に分かりにくい部分もフォローされてて、かなり理解しやすいものになっているんですよ。 なので、源氏物語というものをいつかは読んでみたいと思ってる方にはかなりお勧めなんです。 ただ、多くの人は源氏物語って面白いの?って感じですよね。 なんか平安時代の色男があっちこっちの女性に手を出すみたいな話なんでしょ?っていう。(まあ、概ねその通りなんですがw) て事で、今回源氏物語のさわりの部分だけ交い摘まんで説明してみようと思います。 それで興味を持たれたら是非読んでみてほしいし、そうでなくてもトリビア的な、人に「ねぇねぇ知ってる?」って言いふらせる知識としてアリかなみたいなw 竹取物語の時も書きましたけど、源氏物語の冒頭部分、「いづれのおおんときにか」ってヤツ高校で教わると思うんですけど、あれの内容って覚えてます? あれを交い摘まんで言うと、後宮に多くの女性が集められてる中に、さして家柄は良くないにもかかわらず帝の御寵愛を特に受けた女性がいたという内容なんですね。 竹取物語について書いた時に説明した通り、家柄が良い訳ではないというのですからこの方は更衣という事ですね。後宮の中の桐壺というところにいらしたので桐壺の更衣と呼ばれる方なんですけど。 具体的に言うとこの方は中納言の家の出身なんですが、父親の中納言は既に亡くなっていて、だから後ろ楯というのが無い、立場の弱い方でもある訳です。 で、この方が帝の御寵愛を一身に受けるもんだから、他の後宮の女性達から妬まれていびられちゃったりするの。 このお話の世界では後宮に弘徽殿(こきでん)の女御という、右大臣の家出身の女性がいて、この方が先ず男児を産むんです。 なのにこの弘徽殿の女御をもそっちのけにして桐壺の更衣ばかりを寵愛するもんだから、妬み、いびりの中心人物も弘徽殿の女御だったりするんですね。 で、桐壺の更衣は心労でどんどん弱っていってしまうんですけど、その様子を見て帝が「可哀想に」といって尚更寵愛を深めるもんだから、もう悪循環だっていう話が、あの冒頭部分の内容なんです。
- 弐 - へ続く