2020年12月28日月曜日

疑ってみよう

 さて、この原稿で今年最後のブログ更新となると思います。今年も読んでくださってありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。ペコリ。

 という訳で、今年最後のテーマは「疑ってみよう」です。

 いきなりですが皆さんは、「常識人」ですか?

 そう訊かれたら、「まあ、非常識って程ではないんじゃないかな?」と、大抵の人は答えるんじゃないでしょうか。

 では、こう言われたらどう思うでしょう。
 「自動車を駐車場に停める時、バックで停めるのは間違い。」

 まあ、「何言ってんだ?」と思う人が殆どでしょう。
 では、あなたのその「常識」を、ちょっと揺さぶってみましょう。

 まあコレ、実は前回のブログで取り上げた「クールジャパン」というテレビ番組で話題になった事がある話なんですよね。
 日本在住の外国人の方々の疑問として、「日本人は何で車をバックで停めるの?」って。
 そう、世界広しといえど、車をバックで停めるのは実は日本人ぐらいなんです。

 「だから何? そうだとしても『間違い』とは言えないでしょ。別に犯罪じゃないんだし。」

 日本は自動車輸出大国で、世界中で日本車が走っています。
 でも、その車のベーシックなデザインって、別に日本人が考えた物ではないですよね。
 「ベーシックなデザイン」っていうのは、車の前にエンジンルームがあって、後ろにトランクがあって、ドアは車の前側がヒンジになっていて後ろ側がぱかっと開く。こういう構造の事です。

 調べてみると自動車の起源は1769年にフランスで作られたものが最初らしいのですが、そこから主にヨーロッパとアメリカで歴史を紡いできた物ですよね。
 で、勿論このベーシックなデザインというのは法律、ルールではないですよね。
 エンジンが後ろに載っている車もあるし、ドアだってガルウイングといって上にはね上げるタイプのものや、リムジンなんかだと観音開きのものもありますから。

 にも関わらず殆どの車が、このベーシックなデザインを採用していてる。そしてそれは欧米で生まれ育ったもの。
 つまり、欧米の人達が車というものをずっと利用していく中で、より快適、実用的に使えるデザインが追求されていった結果、時間を掛けて今のベーシックなデザインが固まっていった訳です。
 歴史が作り上げたと言っても良い。
 それが「洗練されたデザイン」というものじゃないですか。

 その欧米の人達が、駐車場には前から入れて停めていて、「日本人は何でバックで停めるの?」と言っている。
 「広い所から狭い所に入れる時にバックより、狭い所から広い所に出る時にバックの方が良いに決まってるじゃないか。」
 「バックで停めたらトランクが使いにくいじゃないか。」

 ということは、車というのは「駐車場に停める時は、前から入れて停める様にデザインされている」筈なんですよね。その使い方で洗練されたんだもの。
 そのデザインを、日本車も採用している。

 だから、駐車場にバックで停めるのは、車というものの使い方として「間違っている」と言えるのです。

 さあどうでしょう。
 あなたが当たり前に、疑問すら持った事の無かった「駐車場にバックで停める」という常識は、まだ常識のままでしょうか?

 大型スーパー等に行って駐車場を眺めてみれば、殆どの車がバックで駐車されていますよね。
 これが「本当は間違った事をしているのに、それを疑問にも思わず、なんなら常識ある行動をしていると思っている人の割合」だと思って見ると、ちょっとゾッとしませんか?

 今我々が暮らす世界は「情報化社会」なんていわれていて、ネット、SNSを眺めてみれば日々何かを声高に主張している人がいて、それに「いいね」してる人も大勢いたりして、ともすると「大勢がこの人を支持しているんだから、きっとこの人は正しい事を言っているんだろう。」なんて思い込んだりしてしまいがちなんだけど、ちょっと調べれば手に入る情報、下手すりゃもう持っている情報を組み合わせて順序だてて考えてみたら、ありゃりゃ全然正しくないじゃんなんて事がそこら辺にゴロゴロ転がっているのに、「疑ってみる」という事を怠ってしまっていませんか?

 自分の好きな有名人、著名人の事を、「この人なら間違った事を言ったりしないだろう」なんて言って、頭ごなしに何でもかんでも言う事を信じちゃったりしてませんか?
 一から十まで素晴らしい、間違いの無い人なんている筈無いなんて事、経験上知ってる筈なのに。
 ビートルズの音楽は教科書にも採用されていますが、メンバーはドラッグやってたんですからね。

 あんまり具体的な例を挙げると、匿名の誰かを槍玉にあげる事になりかねないから、あんまりやらない方が無難なんだろうけど、例えばね。

 過去のデータをみれば、コロナなんかよりインフルエンザの方が沢山死者を出している恐い病気なのに、何でそんなにコロナにビビってんの?

 なんて事を言う人もいますよね、ネット見てると。
 一見、「過去のデータ」という揺るぎ無い物を持ち出して正しい事を主張している様に見えるけど、これはおかしいよね。
 だって、インフルエンザで沢山死者が出てたのって、今現在みたいに人々が感染対策をしっかりやり出す以前のデータでしょ?
 コロナ以降の世の中ではインフルエンザの感染者数は激減しているんだから、コロナよりインフルエンザの方が危険度が高いという主張は適切ではないと、すぐにわかるよね。

 こういうのがネットにウジャウジャいるの。
 疑わないと、考えて判断しないと、すぐに間違えちゃうよ。

 さて、じゃ練習の為にお題を出しときましょう。
 「牛乳を買う時、売場の奥の方から賞味期限の長いものを引っ張り出して買っても、大した意味は無い。」

 はい、どうでしょう。
 牛乳のパッケージを隅々まで見てみれば、きっと答えにたどり着ける筈。

 さあ、疑ってみよう。

 おしまい