2019年12月25日水曜日

ファンタジー vol.2

vol.1 の続き

 あと、妖精とか精霊、妖怪なんかの類い。人魚とかバンパイアとかです。
 因みに人魚って英語で何というかって聞かれたら、みんなマーメイドって答えますよね。マーメイドって女性名詞ですよね。男性だとマーマン。マーマンって聞くとドラクエやってた人なら半魚人を思い起こしますよね。で、シンガポールのアレはマーライオン。
 マーっなんなのかっていうとポルトガル語でmarは海を表します。イタリア語でmare。フランス語だとla mer。
 だから、マーメイドって「海女」という意味ですよね。あ、「あま」じゃないですよ。「うみおんな」ねw
 で、人魚にはもう一つ呼び方があって、セイレーンと言います。コレ、サイレンの語源なんですね。
 セイレーンというのは霧深い海で、歌声によって船乗りを惑わす妖怪なんです、元々は。
 映画パイレーツ・オブ・カリビアンで恐ろしい姿の人魚が登場するのを観て「人魚ってこんなんなの?」と思った方もいたんじゃないでしょうか。あんなんなんですw
 だから童話の人魚姫は人間に恋して人間の姿になるかわりに声を失わなければならなかったのですね。
 因みに因みに、昨年アカデミー賞作品賞を獲ったギレルモ・デルトロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」という映画は、この人魚姫の逆バージョンでしたね。幼い頃の事故で声を失った人間の女性がマーマンに恋をするという。

 とまあ、こんなペースで脱線しているとホントにいつまでも終わらないので強引に話を元に戻しますw

 こういった神話や英雄譚、民間伝承といった類いのものと、歴史学などの深い知識、造詣をベースに産み出されたファンタジーの金字塔が指輪物語です。これも映画「ロード・オブ・リング」でご覧になった方も多いと思います。
 ホビット、エルフ、ドワーフといった様々な種族やゴブリン、トロールといったモンスター。
 新たな神話はおろか新たな言語まで産み出してしまうというクオリティの高さによって、その後のファンタジー作品の教科書と呼べるようなものなんですね。

 で、この指輪物語と双璧を成すのが英雄コナンシリーズです。
 これも細かい話をし出すとラヴクラフトという人の産み出したクトゥルフ神話というのが先ずあって、ラヴクラフトという人はこのクトゥルフ神話の設定を他者が使う事を推奨していたので、これを利用してハワードという人が作ったのがスタートだったんですよね。それをどんどんシリーズ作品を出し続けて一大叙情詩となっていったという。
 これが所謂ヒロイックファンタジーの始祖とも言うべき作品となります。
 コレも何度か映画化されてて、実はアーノルド・シュワルツェネッガーの映画デビューはコレだったりします。

 ただ、この英雄コナンシリーズ、個人的には全然読んでませんw
 このシリーズ、主人公のコナンが奴隷の身分から王にまで成り上がるストーリーなんですけど、作者がこれを時系列順に書いてないんですよね。
 しかもこれが、日本では二つの出版社からバラバラに出てたんですよ。だからどれからどの順で読んでいいのか分かんなかったの。
 現在は出版社が頑張って時系列順に整理して分かりやすいかたちで出してるみたいなので、ファンタジー好きを自称する身としてはいつか読まなくちゃとは思ってるんですけどね。

 で、この指輪、コナンほどメジャーではないものの、ファンタジーを語る上で絶対外せないのがマイクル・ムアコックという人の産み出したエターナルチャンピオンサイクルという一連のシリーズです。
 メチャクチャざっくり説明すると、多元宇宙世界でバランスを乱す神を倒す役割を担わされた存在がエターナルチャンピオンで、色々な次元に色々な姿、名前で転生してくるんだけど、実は魂はひとつのものという存在なんですね。
 この中でも特に人気なのがエルリックサーガというシリーズで、かく言う俺もこのエルリックサーガに中学生の時ドハマリしたんです。

 これについても語りだすと無限の時間がかかるので力一杯かい摘まんで説明すると、この世界とは別の次元の世界で、かつて世界を統べた亜人間メルニボネ族の王位継承者が主人公のエルリックです。

 かつては強力な魔法の力で竜を操り世界を統べたメルニボネ族も、同族間の血縁を繰り返す事によってその血は弱まり、その末裔のエルリックは虚弱体質かつ髪も肌も白く瞳は赤いアルビノです。
 そんなエルリックが王位継承者であることを不満に思う従弟がエルリックの許嫁を拐って戦いを挑んで来るのです。
 虚弱体質のエルリックは従弟に敵う筈もなく、先祖代々仕えてきた混沌の神アリオッチを頼ります。そして魂を喰らう魔剣ストームブリンガーを手に入れるのですが、これがエルリックの運命をワヤクチャにする始まりとなります。
 やがてエルリックがエターナルチャンピオンの転生だと分かり、自身が先祖代々仕えてきたアリオッチを倒さなければならない運命と知り……

 ドロドロの運命は読んでいて苦しくなる程なのですが、最後に衝撃の結末が待っているので是非とも読んでいただきたい。
 俺の二世代前ならウルトラマンの最終回、一世代前なら漫画版デビルマン、同世代ならロボットアニメ「ザンボット3」の最後で味わったであろう強烈なインパクトが待っています。

 と、こういったディープな世界観、緻密に構築されたファンタジー作品は特に「ハイファンタジー」と呼ばれ、子供向けのファンタジーとは一線を画す物として多くの人に好まれ、また新しい作品も産み出されていきます。
 日本の作品でも「精霊の守り人」に代表される守り人シリーズや十二国記シリーズなどがハイファンタジーにあたると思います。

 ただ、どうでしょう。
 現在ファンタジーの代表的作品と言えば、間違いなくハリー・ポッターでしょう。
 ハイファンタジー大好きおじさんの俺からすると、どちらかというと児童小説のジャンルに属するハリー・ポッターをファンタジーの代表と言われる事に、個人的にムズムズするものがあったのは事実です。
 確かに「この世界のすぐ隣に魔法の世界がある」という設定は秀逸ですし、後半のダンブルドア殺害からヴォルデモートとの対決までの流れは結構シリアスですが(なんだかんだ言って映画はチェックしてる奴)、やっぱり鼻くそ味のキャンディを食べるお話がファンタジーの代表であってはほしくないのよねぇ。


vol.3 へ続く