2016年12月19日月曜日

「井上陽水さんの話」 vol.1

 タイトル見て、「おっ、井上陽水さんと知り合いなの?」と思った方、すんません。
 アタクシ札幌在住の一般人ですので陽水さんと知り合いの訳がありません。
 TVなんかで見聞きした話をするだけです。無許可で。(笑)

 もうこのブログ読んでる人達には俺の歳はとっくにバレてるだろうから言っちゃいますけど、俺が陽水に大きなインパクトを最初に受けたのは、音楽ではなく日産セフィーロのCMでした。
 走ってる車のウィンドウが開いて助手席から陽水さんが「皆さんお元気ですか?」と語り掛けてくるCMはあまりにも強烈で、今でも幾多の物真似芸人達が陽水さんの物真似をする時にはこの「お元気ですか?」というフレーズを使い続いているくらいですが、このCMが話題になった直後に昭和天皇がご入院された為、「お元気ですか?」はマズいだろうということになり、陽水さんの台詞は消音されて、結果陽水さんがカメラ目線で口をパクパクさせるだけの映像が流れるという、更にシュールさを増したCMが放映されて、ますます話題になったのをよく覚えてます。

 そんな感じで陽水さんと出会った俺ですが、今回語りたいのは陽水さんの言語感覚についてです。

 陽水さんと言えばサングラス姿の容姿や歌声など、どこを切っても「独特」「個性的」ではあるんですが、個人的には言語感覚が天才的だと思うんです。

 「氷の世界」や「夢の中へ」なんて一度聴いたら忘れられないですし、そもそもデビュー当時の芸名がアンドレカンドレですからね。
 これは陽水さんの娘さんがTVで言っていたんですが、「少年時代」の歌詞の「夏が過ぎ風あざみ」の風あざみというのは陽水さんの造語で、こんな言葉は本当は日本語には無いんだそうです。
 我々は陽水さんが創った造語を聴いて勝手に郷愁感とかを感じている訳です。

 そんな陽水さんですが言語感覚が天才的過ぎて時々我々の感覚を飛び越えてしまう事があります。

 PUFFYのデビュー曲「アジアの純真」は陽水さんと奥田民生さんの共作ですが、民生さんは陽水さんが書いてきた「白のパンダ」という歌詞を見て、「白のパンダった何だろう」と思ったんだそうです。
 そこで勇気を出して陽水さんに聞いてみたんだそうです。
「陽水さん、この『白のパンダ』っていうのは・・・」
 返ってきた答えは
「パンダって白いでしょう」
だったそうです。


vol.2 へ続く

2016年12月5日月曜日

ロックの本質 その2 vol.2


vol.1 の続き
 
 このパンクが一大ムーブメントとなった結果、演奏の上手い人はダサいとされる時期まであって、丁度デビューを控えていたスティング擁するバンド、ザ・ポリスは普通に上手く演奏出来る技術があるにも関わらず、ダサいと思われたくなくてわざと下手に演奏していたんだそうです。
 しかしパンクは一時的なブームですぐに衰退してしまい、ロックの世界ではヘヴィメタルの台頭によって更に演奏技術が極限的にまで高まっていきます。
 で、当然反骨精神が黙ってない。(笑)
 1990年代始め頃、アメリカのシアトルでやはり既存のロックを否定するバンドが次々と現れます。
 絶望感や倦怠感といったより深いフラストレーションを、やはりプリミティブにエネルギッシュに叩きつけ、しかもヘヴィメタル時代を通過しているのでサウンドはよりヘヴィネス、ラウドネスを増していました。
 これがグランジです。
 彼らはファッション的にも華美な要素やメタル的なレザーファッションと一線を画す為、ネルシャツにジーンズ、アーミーブーツ姿だったので、グランジという言葉をファッション用語と思っている人もいるんじゃないでしょうか。
 で、この人たちは「演奏が上手いのはダサい」を通り越して楽器のチューニングをきちんと合わせないなんていう荒技で既存の演奏技術至上主義を否定した人たちなので、ここで大きな改革を起こします。
 それがギターソロの排除です。
 それまではロックミュージックの花形だったギターソロですが、これは演奏技術のひけらかしでありギタリストのオナニーだと。
 このギターソロダサい風潮のせいで、ロック界にその名を轟かせるスーパーギタリスト、スティーヴ・ヴァイさんが愛する息子さんから「お父さんの音楽はダサい!」と言われてしまうという悲劇が起こってしまったりしています。
 このグランジブームはやがてオルタナティブロックという、より大きなムーブメントに取り込まれ、またハードコアパンクとオルタナが入り混じってメロコアなんてジャンルが生まれたり、英国バンドのサウンドを取り込んだりしながらロック界に深く根付きました。
 なので今では普通に演奏の上手いバンドでもギターソロを入れない人たちが大勢いますし、それに特に違和感も感じない様になっていますよね。
 と、この様にロックが元々持っていた反骨精神がロックの歴史に現れて影響を及ぼすケースが過去にはあって、またこれからもあるのかも知れません。
 因みに現在準備中の我々cuno2ndアルバムには結構ギターソロが入っております。
 やべぇ歳がバレる。(笑)

終わり